Photobook As Object 2019 成果発表展

10月3日から14日まで、東京・曳舟のReminders Photography Stronghold(RPS)で開催されたグループ展に参加しました。

このグループ展は、昨年5月に参加したPhotobook As Objectという写真集制作ワークショップの(中間?)成果発表を行うものです。

このワークショップは、RPSのキュレーターである後藤由美さんと、オランダの写真家ヤン・ラッセルが講師となり、参加者それぞれのパーソナルな主題を写真集として編んでいくものです。多くの写真集と異なるのは、自らが撮影した写真だけでなく、ファウンドフォトや、手紙・新聞記事などの各種資料を盛り込みながら、全体として一つの主題を表現しようと試みる点にあります。

ワークショップは国際色豊かで、参加者13人のうち半数ほどがロシアやイギリス、ペルーなど世界各国からの参加者となります。そのため、使用言語は英語(なお、サポートしてくれる方が通訳もしてくれるので、僕のように英語が不得手でも大丈夫です)。

このような講師、参加者との議論を行いながら、金土日を2サイクル、合計6日間で、最初のダミーを作り上げます。当然ながら、6日で完璧なものができるなんてことはなく、言うならばプロトタイプとも言うべきダミーを手にした各参加者は、その後も自分の表現したいコンセプトを現実のものとすべく、試行錯誤を続けていきます。

さて、私自身のことを言えば、この1年ちょっとの間、常に写真集をどうするかということを考えていたわけですが、なかなかアイデアが浮かばず、焦りが消えない日々でした。

かつて力士だった男の人生を、どのようなイメージで構成していくかを考える上で、単に日本的エスニックさというような形にならないように、注意を払いました。しかし、手持ちの素材をどう組み合わせるのか、さらに必要な素材はなんなのか、これでコンセプトを表現できているのか……正直、混沌とした頭の中の整理もままならない状態でした。

それでも、色々な展示を見て、友人や先輩など多くの方と話をしたりすることを繰り返す中で、亀の歩みでしたが、徐々に、ぼんやりと形が出来上がってきました。

この過程を一口に語るのはとても難しいと思いますので、写真集が完成したら、改めて思い返しながら記事にしてみたいと思っています。

そんなワークショップの成果報告会である今回の展示。過去にストレートな写真で展示をさせていただいたことはありましたが、きちんとコンセプトを定めて写真に取り組むようになってからは、初めての展示でした。

今回のメインは作成中のダミーブックであるため、展示はその本の世界を表現しつつ、ダミーに関心を持っていただくことが重要(なはず)です。

こうした前提を踏まえた上で、過去パートの本のページを一覧にしつつ、入門した当時の合格証と、廃業時の写真を配置するというシンプルな構成にしました。

2週間の会期で、知人だけではなく、たくさんの方に展示を見ていただくとともに、本を手にとっていただきました。

平日は勤務する会社での仕事があったので在廊できませんでしたが、2回の土日で計4日間ギャラリーに身を置き、お客様の実際の反応を自分の目で見れたことは、貴重な体験でした。

写真集の完成まで、もうあと一歩のところまで来ています。きちんと仕上げられるように、引き続き取り組んでいきたいと思います。展示に足を運んでくださった皆様、本当にありがとうございました。